第5分科会では、立命館大学教授の宮口幸治氏より困っている子どもには、3方向(社会面、認知面、身体面)の理解と支援が必要な事、そのための具体的な支援としてのコグトレについて講演していただきました。
昨年度の夏季研修会で、宮口氏より基礎学力の土台作りとして認知機能強化トレーニング(COGET)、不器用さの改善として認知作業トレーニング(COGOT)を紹介していただいたので、今回は、子どもへの社会面の支援として対人スキルの向上を目指した認知ソーシャルトレーニング(COGST)の紹介をしていただきました。
絵を見て状況に合わせた会話を考える(感情トレーニング)、スマホを知らない人に借りるには…など場面設定に合わせて会話をする(対人マナーやコミュニケーション力)、絵を見て次に起きる事を予測する(危険予知トレーニング)、結論が決まっているお話をそのためにどうすればよいかお話作りをする(問題解決力)など、楽しい雰囲気の中でワークショップを通して認知ソーシャルトレーニングを教えていただきました。
対人スキルの向上に向けての具体的な認知ソーシャルトレーニングを知ることができ、有意義な研修となりました。
井阪氏からは、実際に授業で行われている、コグトレを取り入れた事例を紹介していただきました。
まず、不注意から物の紛失も多く、見通しを持つことが難しい児童がCOGETに取り組んだ事例から紹介していただきました。その児童は、見通しのつけづらさから今何時間目の授業を受けているかもあやふやになり、いつも時間を聞いてくる、ということが多かったそうです。数字タッチや短文読みのビジョントレーニングで集中力や物の見え方がずいぶん改善し、そこからCOGETのプリントを毎日5枚ずつし、その結果、時間割変更を自分で確認できるようになったとの報告でした。
コグトレ効果としてCOGETでは特に注意、集中に効果があり、思考力、論理力が向上し、またもう一つの実践報告の児童の例では、COGOTでボディーイメージが改善され、協調運動がスムーズになったとお話しされていました。
毎日少しずつでもコグトレを実践することで変化をしていく児童のお話が聞けました。 |