南有紀氏は、訪問教育の取り組みを報告してくださいました。人工呼吸器をつけた児童が、目と舌を使って気持ちを伝えはじめ、手を動かす活動ができるようになり、自我も充実してきた。医療、福祉等児童を支えている人々と連携し、その子のQOL全体を高めることを考える必要がある。児童にとって学校が社会の窓口であり、もっと外との関わり、世界を広げてあげるのが学校の役割である。
川村朋子氏には、教育課程の課題と取り組みについて報告していただきました。大阪府下の肢体不自由校のうち、一番医療的ケアの対象児童が多く、基礎となる学年集団と、課題別学習を行う等、異年齢の児童が交流する多様な集団を設けた。取り組む中で課題が見えてきた。グルーピングを見直し、児童一人ひとりが課題に応じた学習を行う。教員が、意識を変え、集団で取り組み、教育課程を常に見直していく。
久保田牧子氏は、支援学校に勤務していた経験や、看護師への調査を元に報告してくださいました。特別支援学校には医療的ケアが必要な子どもが多数在籍し、学校看護師が配置されるようになったが、十分ではない。保護者、主治医、教員との連携が必要。学校看護師は子どもの主体性を意識し、教育活動を含めた全体を見ている。看護師と教員が互いの視点を共有し、全ての子どもが学校に通えるよう共同していくことを望む。
齊藤由美子氏は、ご自身の教員としての経験も合わせ、「重度重複障がいのある児童生徒の自立と社会参加をめざして」と題してお話ししてくだいました。子どもの自立のためには、本人の思いを受けとめ、関わっている人々がチームとなって支援していくことが大切。支援を必要としている子には生活や人との関わりに幅ができる、ヨコ方向の発達の視点が必要。共に学ぶことは、障害のある子にとって合理的配慮があることにより、学びが保障され、同世代と同じ文化が共有でき、障害のない子にとって、様々な価値観を受け入れる心が育つ。
最後に講師の方同士で意見交換をしていただきました。訪問教育の子が、みんなに囲まれ身に付けた力を発揮するようになった。一貫教育は大きなテーマであり、学校全体で取り組むのはこれから。学校看護師も教員に遠慮することなく同じ立場で一緒にやっていけたらいい。等々これからの課題、展望も示していただきました。
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