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合理的配慮等の支援教育における法整備について
第1分科会
講師:関西学院大学 教授  丹羽 登
支援教育を充実させていくポイントとして合理的配慮の考え方、またそれに関連する法整備の内容についてご説明していただきました。
支援教育を充実させていくために、多様な学びの場の確保だけでなく、学習内容のつながりを考えることによって学習の連続性の必要性の説明とともに、一般学級の教科指導においても、学習指導要領の解説に合理的配慮について書かれていることを踏まえて、すべての先生方の理解が進むことがとても大切なことであるとお話がありました。
個別の支援計画について、保護者との合意の上で合理的配慮を記載するよう求められており、本人が困っていることや性格だけでなく可能性についても積極的に評価していきながら、教科の指導を考えていく必要性を話されていました。
法的な定義として、機能障がいだけでなく社会的障がいの概念も加わってきており、国際的な認識に近づいているとのことでした。しかし一般学級に在籍している難病の子供たちには、しっかりとした合理的配慮をする必要性を言われていました。
合理的配慮を必要とする子供たちが増えてきている現状があり、子供たちの様子が変化しているためとも考えられるが、先生方の理解が不十分なため不登校の対策として通級学級を利用するなどの例を示していただきながら課題も示していただきました。
合理的配慮の具体的な進め方の話がありました。まず合理的配慮とは個別に必要とされる理にかなった変更・調整であり、公平性にかけたりお金がかかる等、過度の負担を科すものではなく、不特定多数の人を対象とする場合は基礎的環境整備となる。また合理的配慮の不提供は法的に差別に当たるとの説明がありました。その上で、合理的配慮を考える場合は、本人の意思表明が基本にあるとともに、意思表示が困難な場合は保護者が補佐することができたり、意思表明がない場合でも、必要な配慮が明確な場合は建設的な対話や自主的な配慮を努めていくようにし、その上で個別の支援計画に明記し、それに基づいた個別の指導計画の作成をするように言われていました。
具体的に合理的配慮をしていく上で、子供たちの理解度に応じた教材を考えたり子供たちが使える機能を活用できるようにICT機器の活用の例もお話していただきました。その場合の注意点として、子供たちの心情を理解していくために、本人の声を聞くようにしながら教育的ニーズの把握に努めなければならず、一方的な思い込みをしないよう注意されていました。同時にわかっていても伝えられないことを理解し、自分の思いを表現する方法を探していくこと重要であるとも言われていました。
法整備が進んでいる中で、法的な意味をもっと理解する必要性と、合理的配慮を進める中で配慮する観点を詳しく説明していただきました。
 

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