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北河内LD研究会主催「LD・ADHDに関する研修会」報告

テーマ なんでこうなるの?!アスペルガー症候群、
高機能自閉症の子どもたちへの支援の実際
日時 平成16年(2004年)8月10日(火) 14:00〜16:00
会場 枚方市総合福祉会館 ラポールひらかた 3F研修室1
講師 中村 敏子 先生(高槻市立如是中学校教諭)


   障害のある児童生徒の立場に立って一人一人のニーズを把握し、必要な支援を行うという考えに基づいて対応を図る。そのニーズの違いを見極めるためにも個別の指導計画が必要である。また、長いスパンで個別の支援計画を立てることが必要。とりわけ自閉症の方への教育の分野での指導内容によって将来の生活の有り様に影響を及ぼしている事が多い。
   支援の入り口としては、認知(情報を取り入れ、脳内で処理し行動に出すその一連の脳の働き)の違いを見極めることが大切。いろんなタイプの子どもの認知の違いを理解し指導すること。例えば教室をすぐに飛び出してしまう子どもに対して、どうにもならない衝動性がある場合があるので、何が何でも教室に入れようとするのではなく、行き先を告げさせ、後は無視をする事が有効な場合もあることなど。出てくる行動に惑わされないで、何でこんな行動をするのか、何に困っているのかを考えること。
   自閉症の子どもに対しては、視覚的な支援が有効。そして、不安を募らせないように、いつ・どこで・何を・どのように・どうすれば終わりか・終わったら何があるのかを視覚的に提示する。自閉症への支援の原則は、視覚的、具体的、肯定的である。
   脳の話もおもしろいと思いました。養老猛さんの「脳の地形図」から男性脳と女性脳の話をされました。
   自閉症の三つ組み(対人関係、コミュニケーション、想像力)の話も具体的にしてくださいました。そこから、特性を考えた指導、構造化の大切さも良く分かりました。
   記憶の問題として、フラッシュバックの事例を教えてくださいました。何の脈絡もない場面で友達を殴ってしまった自閉症の子どもの対応で、過去に何かあったのかとの思いを持ってその子に問いかける事も必要なこと、そういう対応で解決した事例のお話がありました。また、社会性の問題に対しては、シュミレーションをしたりして適切な行動をひとつひとつ教えていったり、先行条件の情報を得て手立てを考えることが必要なことなどこれからの実践に生かしていけそうです。
   ローナ・ウィングさんの言葉「私たちが自閉症の世界・文化に近づいて、理解してから、私たちの文化の中に一人一人の手を引いてみちびくことしかできない。」を最後にあげ、私たちが自閉症の文化を理解し、仲介者となる事が必要なんだと話されました。

最後に質問の時間もあり、お話を聞きに来られた先生方の熱気も感じた1時間50分でした。

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