ホーム>研究会等2004年度>ICT活用プロジェクト2004年度>2004年度夏期講座E講座報告
実施日 |
17日(火)9:30〜12:30 |
講座名 |
教育と子どもの自発性を引き出す工夫 ─保護者の立場から─ |
講師 |
小林 整 氏(保護者) |
内容 |
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パソコンを知的障害のある子ども達に触れさせる場合、様々なハードルが待ち受けています。 落ち着いて座ってくれない/マウス・キーボードが難しすぎる/教えようとしても理解させるのが難しい/パソコンをすぐ壊される・・・等々。 しかし子ども達は「ボク達だってパソコン使いたい!」と心の中で叫んでいます。 これらの壁を乗り越えるために保護者自身が作り出した「かお型マウス」が、これらの難題をどうクリアしたか、また、子ども達が「自発的」にパソコンに取り組んだ時の歓声が、保護者や教育現場の方たちに、大いなる驚きと、潜在能力を過小評価すべきではないことを教えてくれた、などについてお話したいと思います。 |
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備考 |
講師の小林 整 氏がつくられた かおマウス |
報告と感想 |
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知的障害者にとって、既存の「キーボード」や「マウス」が操作不可能なことは論をまたず、従来型の肢体障害者用操作支援機もまた代替装置とはなりえません。知的障害者が深刻なデジタルデバイド状態に放置・無視されている状況を打開しようと、新たに「木工エレクトロニクス」の会社をたちあげた小林さんの奮闘が始まりました。 島津製作所時代の医療機器開発者としての手法と蓄積とを活かし、ご子息の障害を見据えて、我が子が使いたがり、喜んで使い続けられる入力装置を、と改善を重ねました。その結果、知的障害者のみならず「かおマウス」は、肢体・重複障害者、老人、幼児にも使い易い画期的なパソコン操作支援装置となったのです。 開発のきっかけは、生後1才まで発語や鼻歌を習得しながら、後退が進むわが子は、実は言葉を「失ったのではなく、閉じこめられているだけではなかろうか」「なんとか外へ呼び出せないだろうか」という親の願いでした。どうにかパソコンを利用して、普通の絵本同様デジタル絵本を、自分の意思とペースで読ませたい。できれば、ページの「行きつ、戻りつ」をさせたい…..。これらを実現する夢からスタートしました。 障害児にとって、何が一体「マウスの壁」なのでしょう?「小さいと投げるに好都合。360度自在に動くのでカーソル移動との関連がわからない。素速く斜めに動かすと視線追従ができない。叩くと壊れる。左右ボタンの弁別が困難。外形デザインに自発操作へと導く魅力がない。」etc。では、何が大事なのか?「誘惑するデザイン」(Allurance Designe)だそうです。「こどもは、顔がすき、スイッチがすき、ローラーがすき、凸状のでっぱりがすき。」障害児達のあらゆる「すき」に応えて、「木製の手触り、顔型のレイアウト、縦横分離の操作簡便性、ユーティリティの柔軟さ、発展性を見越した設定」を兼ね備えて製品化し、さらには森の香りの「かおピアノ」までが実現しました。触ってわかる木肌の上質のクオリティ。楽しさ抜群の可愛いネコ顔クマ顔の機器たち…..。 この講座は、楽しい雰囲気。質問続出でまとめきれません。参加者の関心の高さを物語っています。 |
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